MobileGear

と、言うわけで買いましたモバギヤ。
このページではモバギでの僕的お遊びについてつらつらと書いてみたいと思 います。

まずは購入編

実はついこの間まで、正月に福引きで当てた「ザウルス」を便利に使ってたんですよ。最近のザウルスは速いし、容量もいっぱい有るし、機能もいっぱいあるしである程度、満足してました。
主に使っていた機能は電話帳(ってゆーか住所録)とワープロかなー。スケジュールは書きはするけど、開発系会社員には管理しなければならない程の予定というのは無いわけで、あまり使ってませんでした。で、ある程度物珍しい段階を脱却すると、いろいろな不満が見えて来ました。


特に3.は致命的で、今回「もばぎ」を買うことにした最大の理由がこれでした。これはどういうことかと言うと、例えばノートパソコンで書いたり、受信したりした文書を「ザウルスで後で読みたいなー」と思っても、容量が足りなかったり、そもそもテキストファイルに対応してなかったりでまるで使えないということです。ザウルスはテキストファイル対応は「インクワープロ」という機能で行うんですが、こいつの制限が30KByteくらいなのだ。より読みやすく、修正しやすい「ワープロ」という機能にいたっては20KByteがいいところで、これではメール一本も入りません。しかも、この機能がサポートしているファイルフォーマットはRTF(リッチテキスト)だけという、まったくプアーな仕様。これでは、せっかくの10MByte領域がまるで活かせませんね。
いや、わかっているんです。「ザウルスは普通のおじさんたちがターゲットだからそんな機能はいらんのじゃ」ってことは。だからまあ、僕が「おじさん」には違いないけど「普通のおじさん」ではなかったということで、甘んじて買い換えることにしました。
で、新しい機械に求めた機能は次の通り。

BBSにもちょこちょこ書いていたけど、候補に上がったのは次の機種。

本当はWindowsCE機も視野に入れていたのだけれど、ビル・ゲイツに乗せられているようでいやーん、なのと大抵のカラー機は「バッテリーは3時間? どこがPDAじゃ!」というような間抜けな仕様だったりするので候補から外しました。もう一つ書くなら、未だにCE上で動く「Emacs系エディター」が存在しないのも大きな理由です。
この3機に絞って、Web上をサーチしまくり、情報を集めました。
1.は史上最小のWindowsマシン、ということで期待したのですが、バッテリーの持ちに問題があったので早々にダウン。だめだこりゃ、です。もう1段値段が下がったらコレクションとして買おうかな? とか思ってたりするけど。
2.は、最後の最後までねばりました。PIMとして最高、DOSに降りればなんでもできる。タッチタイプもぎりぎりできるし、軽くて小さくて、これ以上のマシンがあるかいな? という感じ。
最終的に購入しなかった理由は一つ(と、実はもばぎ側にもう一つ)、「高い」ということです。大体、今の市場価格でもばぎの2倍します。もろもろのオプション類を買い揃えて行ったら、一体幾らかかるやら? うーん。お金があれば、もう一歩安ければ、「即、買い」なんだけどね。
で、「もばぎ」です。先の条件の1.2.3.は楽楽クリヤーです。これはいい。4.もネット上で散々書かれていた「使いにくいPIM」を使わないで、エディタを使うという方針でクリヤー。市場価格もそこそこ安い。
で、決定打となったのが、「Pocket-BSD」の存在でした。これはもばぎ上で「BSDを動かしてしまえ」という無謀なプロジェクトで、「いつもポケットにBSDを」がキャッチコピー。
私、基本的にUNIXが好きなんです。ってゆーか、これが一番楽な環境だと思います。Macも含めてウィンドウシステムって必要性をあまり感じません。いや、仕事の上では色々いりますけど、自分個人で考えるなら「使いやすいエディター」があればあとはいりません。だったら処理が軽いOSがいいに決まってます。そういうわけで、「Pocket-BSD」は僕にとって最大のアピールとなりました。
はい。T-ZONE通販でお買い上げー。チーン!

インプレッション&使い方

はっきり言って、予想以上にでかいです。お店で眺めたときより大きく感じる。液晶を閉じた状態で、A4を二つ折りにした大きさ+αです。サブノートのキーボード部分を切り取った大きさ、と言えばわかりやすいでしょうか? まあ、とにかく大きいですが持った感じは軽々してます。キーボードに触ってみると、これが「最高!」の感触で、自分の使ってきた歴代ノートの中でも一番上位につけると思います。ちなみに、私の使ってきたPDA、ノートのキーボード順位 BEST 5。

巨大ノートは順位つけてやんない(笑) 使いやすいけどね。
さて、それ以外の部分は、と言うと実はわかんなかったりするのだ。なんか、PIMとか表計算とかいろいろついているらしいのですが、「箱開けて直ぐにDOS化」してしまったので、使いやすいんだか、使いにくいんだか全然わかりません。唯一例外が「電子メール」で、実はDOS環境のセットアップに手間取ってしまったので、緊急に使ってみました。割と使いやすいですが、「いちいちIDとパスワードを入力させられる」ところが弱点です。
DOS化はあるページを参考にしてやったら、簡単に出来てしまいました。Ng(Nihongo MicroEmacs)を使うための設定で少し手間取りましたが、それでも2時間もあれば動く所まで持って行けるでしょう。古くからパソコンいじっている人なら知っている、FDとかMIELとかもあっけなく動きました。
私の使っているソフトの一覧です。

エディター Ng(Nihongo MicroEmacs)
DOSで動くMicroEmacsはいろいろあるんだけど、一番Muleっぽいのがこれです。僕はauto-fill-modeとかfill-paragraphを多用するので、これ以外の選択肢はありませんでした。要termcapファイル。
日本語FEP WX3
どういうわけか手元にあったので入れてみました。ラージ辞書は大きすぎだけど、スモールでは馬鹿すぎ、といのが悩みどころ。
ファイラー FD
ま、定番だし。キーアサイン憶えきっているし。
ページャー less
MIELはあまり好きじゃないっす。DOSで動くlessというのがあったので、それを使用。
通信ソフト 使ってません
メーラー D-mail
最近はDOSの世界も進んだものよのー。こんなすっげーちゃんとしたメーラーがあるとは。最近のMIMEとかにもちゃんと対応。お行儀もいい。MSのなんとか言うメーラーとは大違い。
インターネット接続 dosppp
これも驚きました。pppのパケットドライバーがフリーで出ているとは。PAP/CHAPにもちゃんと対応してるし、軽いし、良く出来てます。他に、etherpppというのもあるけど、こっちの方がお勧め。
その他 UNIX系のツールを色々と。UNIX-like toolsというパッケージが便利です。これにawkとperlとsedを加えれば、大抵の事はできるでしょう。ってゆーか、出来てます。
telnet / ftp / Web Browserは物色中。でも使わないからいらないかも。

ま、みんなDOSの頃に使っていたソフトがほとんどですね。でも、時代が進んで自分の好みも変わっているので、UNIXに偏っているのが昔と違う所かな? ありがちな、スケジューラーとかPIMは使わない事にしました。エディターでげしげしメモっとけば大体のところはすんでしまう。むしろ、エディターを終わって、専用ソフトを立ち上げてー、なんかヘルプ見ながらキー押してー、とかやるよりは、エディタの上からさくさくっとサーチした方が楽だし、速いと言うものです。
で、おわかりの通り、使い方としては「エディタたちあがりっぱなし」です。ときどき、shell-escapeしてcommand.comの上からgrepしたりawkしたりする程度です。上にはFDとかも書いてあるけど、むしろdiredの方がメインだったりします。そういう意味では、PDAというより
「持ち歩けるEmacs」
という感じだったりします。僕にとっては理想の環境、でも他の人にはどうかなー? 他の人だったら
「持ち歩けるVZ」
とか
「持ち歩けるMIFES」
にすると意義深いのかもしれませんね。
モバイルギアは、僕のバイク用ウエストポーチにちょうど入る大きさなので、この前のつーれぽはその場その場で書き足して、最後に整えて作りました。どこででも自分の好きなエディターが使えるというのは、便利だし生産性を上げるのに役立つものだと思います。持ち歩けるからと言って、不慣れなエディターでは文章は書けません。
そういうわけで、「今の所」モバイルギアには非常に満足しています。PDA購入をお考えの方、ご参考に。

とか何とか言ってますが・・・

実は上の文章は相当に古いです。
大体、8月初頭に書いたものだからもう3ヶ月くらい前になるのね。
その後も他に浮気したりせずに、Mobile Gearは使ってますが、色々と問題が発生するようになってしまいました。

バッテリーの件の原因は多分、DOSモードではCPUがフルパワーで動いているためだと思います。CPUスピードを落とすソフトもあるのだけど、いちいち手動で調整するのはかったるいので入れていません。パワー落とすとWX3の変換速度が涙が出るほど遅くなってしまうし、Ngのレスポンスも悲しいことになってしまいます。エディタ起動中はCPU速度を上げればいいんじゃないの? とも思いましたが、大体がエディタに入りっぱなしの日々を送っているのでこれじゃ無意味。エディタの中から「いざ書きこまん」とするときに調整をかけるのはできるけどやってられんので論外。
一方でレジュームに時々失敗する、ってゆーのはこれまた致命的で最初のうちは「愛がある」から耐えてましたが、途中からは「書きかけの原稿を飛ばすとは、死を持って償え」くらいのことは言いたくなってしまいました。愛が冷めてきた証拠? ま、サスペンドするまえにセーブしておけばいいんだけど、これだと再起動になってしまうからいちいち手間がかかるのはやっぱりかったるいです。
また、購入理由の決め手となった「PocketBSD」なんですけど僕の持っている環境ではどうやっても動作させることができなかったのです。僕は外部記憶デバイスとしてEPSONのコンパクトフラッシュ15MByteを使ってるんですが、これにインストールしようと思うと「なんかセクターがこけてまっせ」とか言って終わってしまう。数回フォーマットしてコピーして、を繰り返してもどうしても駄目。そのくせ、本来の外部記憶としての使い方には何の問題も無い。「なぞだなー?」とは思いつつも「ま、面倒だからいいや」とあまり追求しないことにしました。
そんなこんなで、ここ一月ほど「なんかやだなー」とMobile Gearに触ってま せんでした。Cerelonマシンの環境整備に追われていたりして、「それどころじゃなかった」というのも確かなんですけどね。

でも試してみたいんでしゅ

で、いきなりPocketBSD再挑戦です。
実は昨日なんですけど、ふと思い立ちました。
「VFAT?」
PocketBSDのインストーラーを僕はWin95のExplorerでコピーしていたんですが(Amityの上でね)、このときVFATの怪しげな情報が書き込まれてしまいます。もしかして、これがインストーラーにとって「ふざけんな」的情報なんではなかろうか?と、思ったわけです。で、MobileGear側でカードの初期化を行って、今度はWin95のDOSプロンプトの上から素直に書きこむことにしました。
copy *.* e:\登録ソフト(「ソフト」は半角)
って感じ。これでもVFAT情報が書き込まれる可能性は十分にあるのだけれど、ま、物は試しです。
カードをAmityから外して、MobileGearに移して、メニューの「登録ソフト」から起動。ちょっとした設定を行った後、祈るような気持ちで画面を見つめます。なんと、前回ひっかかった「セクター書きこみ」を無事通過! Bingo!
うーむ、そういうことであったか。
本当の本当にこれが原因だったのかどうかはわかりませんでしたが(追試してみないとね)、とにかくそういうわけでついにBSDが動き出したのでした。

でもって行きつく果ては

PocketBSD!
なんとまあ、このような小さなマシンでよくも動いてくれるものよのー。
muleを立ち上げてみたり、ps axとかやってみたりして遊んでみました。楽しいです。
んで?
ふつふつと湧き上がる疑問。んで、どうすんの? mule動いているけど、auto-fillは無いし、cannaじゃないし。calendarとかふだん使っているlispも動かないし。これで君は一体何をすると言うのかね? なんか、自分の中の冷 静な部分が語り掛けてきます。
うーん。
やっぱり15MByteというサイズには無理があります。DOSとのやり取り用にと確保したのが1.5M、スワップが6Mくらい、残りが8M。インストールした時点ですでに85%が埋まっています。残り容量は1.5M弱。これじゃlispを増強することもできないし、ワーク領域を確保することも出来ません。「80MByteくらいのフラッシュ買うか?」と一瞬思いましたが果たしてそこまでする程の価値があるのかなー・・・・。
前の方にも書いたけど、DOS化した時点で多少不安定になっています。バッテリーの減りも早いからカタログスペックの30時間には追いつくべくもありません。多分、10時間くらいになってしまっているでしょう。これはDOSに限らず、UNIXであっても生じるであろう問題だと思われます。
正直言うと、Amityが持ち歩きにも使えるのでMobileGearの価値というのは相対的に低くなってきてしまっています。Amityでは起動に時間がかかってしまって、うざったいという状況、例えば何か行動中のメモ書きとか、通信中に覚書を参照したくなったときのメモブラウザとか、そういう状況に対応できるマシンとして使いたいと思い始めています。そうすると、あくまでも「安定性命!」ということになります。
安定を追及して行きつく先は、もうデフォルトで使うしかありません。
「ま、使いにくいと評判のPIMだけど、どの程度使いにくいのかは知らないわけだし、しばらくUniShellで使ってみっか。エディタにせよ通信環境にせよ、我慢が出来ないほど使いにくかったらFlash買ってBSDにすればいーんだし」
というわけで、デフォルト構成に戻すことにした小田なのでした。ちゃんちゃん
ま、その辺の話はまたいずれ

PocketBBS(ポケビ)再び(99/04/13)

その辺の話をしてみようかと思う。
そういうわけで、デフォルト構成に戻した私ですが、これがなかなかに使いやすく、数ヵ月の間はそれで済んでしまいました。ワープロ、表計算を使い倒して、日々のメモとかに活用。この間に台湾に旅行したりしたんだけど、そのときのメモなんかもモバギで済んでしまった。
ただ、スケジューラーだけは評判どおりの使いにくさで早々に撤退。フリーソフトの「Task」というなかなか良く出来たソフトがあったので、そっちに乗り換えました。
よーし、このまま使うかー、と思っていましたが一つだけ耐えがたい事態が発生しました。「FEP」の問題です。
モバギはNEC-AIとか言う、「そう言えば昔、NECのDOSを買ったときについてきたことがあったっけなー」というFEPを採用しているのですが、こいつがどうもタコなのです。キーボードアサインが今風でないとか、単語登録がかったるいとか、何よりも最初の変換が馬鹿過ぎる、と問題だらけ。しばらくは仕込めば使えるはずだ! と努力をしましたけど、途中で投げ出しました。
うーむ、困った。またDOSに戻すと不安定になるし‥‥。やっぱ、我慢してこのまま使うしかないのかなー‥‥。
ところでこの頃、私はt-codeと言う物に手を出していました。t-codeと言うのは、漢字直接入力の一種でキーボードを2ストローク打つ事によって一文字の漢字を入力する入力方法です。ものぐさな私にとって、この入力方法は快適そのもの。「もうこれ以外の入力方式なんか使えるか!!」という気分になってしまったのです。「モバイルギアでも何とかしてt-codeは使えんものかいのー」と思い始めてしまったのでした。
そうなると結論は単純です。
「やっぱ、PocketBSDだな」
ちょっと前に48MByteのコンパクトフラッシュを買っていたので、これを使うことにしました。前回と同じインストーラを使い、インストール。この時、もはや使う事は無いcannaは選択しません。また、その後あちこちで「muleは重いので、nemacsを使おう」と言う話が上がっていたので、muleも入れませんでした。その代わり、nemacsはほぼフルパッケージでインストールです。これにtcode-2.0beta5.tar.gzを入れて(makeが無かったので手動コンパイル)インストール終了。とりあえず、「どこでもemacs and t-code」の環境が完成したのでありました。

 


(作成)1998/11/05 (更新)2000/12/21 (著者)小田英生
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